それはさておき、この本は、地球を小さく平らにしている(フラット化)大きなうねりを政治(ベルリンの壁崩壊に伴う東西世界分裂の終焉)、テクノロジー、ソフトウェア、アウトソーシ ング、インソーシング、物流網等の点から多面的に活き活きと描写している。例えばThe Only Sustainable Edge: Why Business Strategy Depends On Productive Friction And Dynamic Specialization
また、フラット化した世界での競争力の源泉は必然的に教育や異なるもの・新しいものに対する受容的な姿勢といったものであること。その一方で、 こうした世界のフラット化と相克する、過激な(=新しい時代への適応不全を起こしている)宗教思想と、世界の進化を「侮辱・屈辱 (humiliation)」という捉える一部の人々の精神構造や、フラット化の阻害要因となる膨大な数の世界の貧困層底上げに向けての市場原理とプライ ベート・セクターを積極的に活用して成功している例の描写は非常に興味深い。
「ゆとり教育」という名の下に、世界の流れに逆行して競争力低下を招く愚作を展開した日本の過去20年余り(?)の教育改革(改悪)や、英語教 育のレベルの圧倒的な低さに伴う世界とcollaborateする能力や受容性の欠如を考えると、フラット化した世界での日本の将来は余り明るいものでは ないと思わざるを得ないが、一方で、こういう世界に職業人個人としてどうやって対処していくか、また自分の子供をどうやって教育してあげられるのか、と考 える多くの材料を提供してくれる。
文句なしに2005年読んだ中で一押しの本。ちなみに本書の中にも出てくるマクドナルドのドライブ・スルーの話の関連記事はこちら→NY Times The Long-Distance Journey of a Fast-Food Order
