本書の題名が内容に合致しているかどうかは、やや微妙なところではあるが、ITの進化によって引き起こされる新しいビジネス・モデルや、従来の業界を超えた競争環境の現実、巨大開発投資とSOA, SaaSを通じた新しいアライアンスや相乗り、オープン化による自社プラットフォームのデファクト・スタンダード化或いは社会基盤化、集合知の活用の必然等々を、分かり易く描いている。
その一例としてJR東日本によるSuicaの導入、PASMOとの接続、コンビニ等での利用可能性、モバイルSuica等々といった広がりは、鉄道旅客会社が巨大な決済インフラと消費者のマーケティング・データベースを持つことになったということでもあり、そのことの業界を超えた競争環境へのインパクト等は有益な視座を与えてくれるし、種々のanalytics(分析)をベースにした企業経営への流れとも大いに関連してくるだろう(例えばThomas Davenport著”Competing on Analytics”を参照)。
また、本書の最後の部分でWeb 2.0的な流れがナレッジ・マネジメントや集合知に及ぼす影響を述べているが、その視点は有効な顧客対応という部分が強調されているように感じるが、更に、どうやって全社員の知を最大限に引き出して「経営管理そのもののイノベーション」に進化させていくのかを論じた本としてはGary Hamel著”The Future of Management”(現在翻訳中らしい)が参考になる。また、遅ればせながら気付いたのであるが、最近読んだビジネス乃至はマネジメント関連の数冊の本から、"The Wisdom of Crowds"(James Surowiecki著)とanalyticsという2つの大きな潮流が感じ取れる。
Competing on Analytics: The New Science of Winning
The Future of Management
The Wisdom Of Crowds (Anchor)

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