12/02/2007

決定版 ほんとうにわかる株式投資

数ヶ月前に読んだ本。自分は株式への投資はしていないが、経営分析や管理会計の著書で定評のある著者の視点が企業の数字を観る際にいくつかの有益な示唆を与えてくれる。例えば、
◆標準偏差を用いた分析(7, 8章)はファイナンスの基礎を知っている人にはお馴染みの話しではあるが、どの指標でリターンを見るのか、という点は有益。本書では言及していなかったように記憶しているが、標準偏差とリターンまで説明したのなら、2つの数字を分数にして相対化し「リターン1%あたりで覚悟すべきリスク」或いは「標準偏差1で期待できるリターン%」といった考え方ができるのは自明であろう。更に、ここからモンテカルロでシミュレーションをやって…、といったことに発展させることも可能だろう。
◆CVP(損益分岐点)分析(9, 10章)は勘定科目別の固変分解ではなく最小二乗法を用いた手法を紹介している。これも統計を知っている人にはお馴染みであるが、分析対象が規模・成長性等の観点から、ある程度安定した企業でないと上手く適用できない可能性はあるかと思う。
◆繰延税金資産の計上額と会社が発表している将来の利益予想を比較してみる(12章)、といった視点は投資家の観点から「なるほど」と思わせると同時に、また、数字を発表する立場から考えると「それなりの整合性を持っていないとまずいな・・」と思う次第である。
◆流動資本キャッシュフロー(13章)という切り口からの企業の持続可能性に関する分析も参考になる。
単なる株式の売買に関するハウツーを求める読者には無用の長物だろうが、ファイナンスや会計の基礎を知っている読者には株式投資という切り口を越えて参考になる本である。

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